学部教育(医学部):
医学科における公衆衛生学の教育はM2(第4学年)、M3(第5学年)、M4(第6学年)を対象に行われる。
M2公衆衛生学系統講義:
当該分野の体系的理解と基礎的方法論の習得を目的とした講義を計18コマ担当する。内容は、公衆衛生学総論、健康管理論、疫学、医療経済学、地域保健・医療、在宅医療、産業・環境保健、感染症・結核対策、国際保健、医療政策・行政、宇宙医学を含む。とりわけ行政、地域保健等については第一線の現場の行政官、医師、研究者を非常勤講師として招いて講義を実施している。
M3公衆衛生学衛生学実習:
7月or9月の1週間あるいは夏季休暇期間中に、衛生学教室と共同して、両教室のスタッフ非常勤講師、国際保健学専攻及び健康科学講座の協力スタッフの協力をえて、少人数の班(約25班)に分かれて実施している。通常の臨床を補完して広く社会の視点から医療とキャリアを考えられるように機会を提供することを目標に構成している。
M4社会医学統合講義:
公衆衛生学・保健医療論の総括として社会医学集中講義(6コマ)を実施。最終学年に臨床医学をさらに広い視点からとらえなおせることを目標に、研究的視点、政策的視点、社会的視点、そして患者の視点を知ることができる講義構成としている。
その他:
医学科の研究室配属、フリークォーターを担当。
学部教育(全学):
東京大学の2年生~3年生のGlobal Leadership Program-Global Education for Innovation and Leadership(GLP-Gefil)において、Phase 2 のGlobal Health Thematic Fieldを担当している。
GLP-GEfilの詳細はこちら
大学院教育:
社会医学専攻公衆衛生学分野(医学博士課程):
疫学、統計学、医療経済学などの各論を習得できるよう演習及び実習を毎週実施する。特に、公衆衛生学の研究者として知っておかなければならない基礎事項は早期に習得できるように参加型のゼミ形式で議論を行う。
合わせて、研究発表会(セミナー)では大学院生のみならず、研究生や客員研究員、外部講師なども招いて活発な議論・情報交換を行っている。上記以外に、事業所等における健康管理、学部授業の聴講・補助などを通して、バランスの取れた公衆衛生学の研究者・あるいは実務者となるトレーニングを実施している。
研究のテーマとしては各教員のテーマやプロジェクトがあるので、そこに参加する機会は得られるが、それだけでなく、自らの解決したいと思う課題があれば、それ解決するための考え方と、政策担当者、医療機関、医療者、市民、患者などの関係者と連携しながら現実の問題の解決に資する研究を考える過程を指導する。
公衆衛生学・健康医療政策学は、いわば社会を患者とした臨床である。社会を観察し、関係者の話を聞き、問題を認識したうえで、それをデータによって検証し、解決策を考え、提示する、といった一連の過程を習得し、卒業時にそれを自ら実施できるようになることが当教室の教育目標である。研究者であればこの過程の前半に重きがあり、実務家であれば、後半に重きがある、という違いはあるが、基本は共通している。研究者を目指すものも、実務家を目指すものも、同様に学び、その上で自らに適したキャリアを決めるのが勧められる。
公共健康医学専攻(公衆衛生学大学院):
健康医療政策学(講義、2単位)ー 健康医療政策学は、科学的なエビデンスに基づき実社会の課題を解決していく学問である。研究者と第一線の実務家によるシリーズ講義と議論を通して、科学的な視点を持ちつつ様々なステークホルダーを調整する現実的な政策の研究者と実務家となる第一歩を提供することを目的とする。
健康危機管理学(講義、1単位)ー 健康に対する危機は自然災害、人為的事故、感染症など多岐にわたる。世界の趨勢を知る研究者から実務を担当してきた経験者などを講師にお呼びして、公衆衛生の専門家として知っておかなければならない知識を提供するとともに、危機管理の専門家となる機会となる講義を目指す。
保健行政・健康危機管理学実習(実習、4単位)ー 協力先の保健所に2週間訪問することによって、保健所業務と関連事項について見学するとともに自ら考える。